熱中症予防の落とし穴!?ペットボトル症候群とは
2025.7.16


暑い季節、熱中症予防には水分補給がとても大事ですが、注意しないと「ペットボトル症候群」になってしまうかもしれません。
今回は、水分補給の際に気をつけたいポイントや、ペットボトル症候群の症状、そして身につけておきたい水分補給の習慣について解説します。
1.その水分補給は本当に大丈夫?

人間は、1日あたり約1.2~1.5リットルの水分を飲み物として必要とします。しかし、「とにかく水分を摂ればいい」というわけではありません。
水分を過剰摂取すると、からだは塩分濃度の低下を防ごうとして、水分を血管の外に押し出し、体内にため込もうとします。これがむくみの原因に。
また、腎臓の処理機能が追いつかず、めまいや疲労感を感じることもあります。
2.ペットボトル症候群は、現代の生活習慣病

水分の過剰摂取によって引き起こされるもうひとつの怖い症状が、「ペットボトル症候群」です。
ペットボトル症候群とは、清涼飲料水やスポーツドリンクを過剰摂取することで起こる急性の糖尿病のこと。これらの飲料には多くの糖分が含まれており、飲み続けると自覚のないまま糖を過剰摂取してしまうことがあります。
その結果、血糖値が急上昇し、インスリンが過剰に分泌されることで低血糖やだるさを引き起こします。症状が“疲れ”や“夏バテ”と似ているため気づきにくく、対処が遅れることもあるのです。
背景には、20〜30代の「隠れ高血糖」や糖尿病予備軍の増加が影響しており、実際に患者数も増加しています。
3.明日からできる!健やかな水分補給習慣

ここからは、健康的な毎日を送るために意識したい水分補給習慣のポイントをご紹介します。
3-1.水分はこまめに摂取する
水分は一度に大量に摂取しても、すべてを吸収することはできません。体内では、ナトリウムやカリウムなどの「電解質」のバランスを保とうとするため、大量の水分を一気に摂ると、排出されやすくなります。
水分を摂取するときは、コップ1杯程度をこまめに飲むことが推奨されます。運動や入浴の前後など、水分を失いやすいタイミングでの補給を心がけましょう。
3-2.起床後に水分補給
睡眠時にも多くの水分が失われています。皮膚や呼気など、汗以外から排出される水分を「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」といい、その量は1日あたり合計で600〜800mlにもなります。(※1)
睡眠中は水分を摂れないため、不感蒸泄による脱水が起こりやすい状態です。起床後は水分が不足しているため、目覚めたらすぐにコップ1杯の水を飲むといいでしょう。
3-3.食事に含まれる水分も意識する[a]
からだに必要な水分は、飲み物だけでなく食事からも摂取できます。1日あたりの目安は、飲料水は約1.2リットル、食事からは約1.0リットルで、意外と多くの割合を占めています。
「水をたくさん摂るのが大変」という場合は、味噌汁やスープなどの汁物で補うのもおすすめです。
4.体質改善には漢方薬もおすすめ

ペットボトル症候群のように、からだのバランスが崩れて不調をきたしている場合は、体質そのものにアプローチする漢方薬の使用もおすすめです。
漢方薬は植物や鉱物といった自然由来の生薬でできており、一般的に西洋薬よりも副作用が起こるリスクが低いといわれています。また、飲むだけなので生活習慣を大きく変える必要がなく、負担が少ないため、継続しやすい点もメリットです。
ペットボトル症候群には、「水分の循環をよくして、体内の水分バランスを整える」「胃にこもった熱を冷ます」といった口渇をとり悪循環の改善が期待できる漢方薬を使用するといいでしょう。
ペットボトル症候群(糖尿病予備軍)対策におすすめの漢方薬(※2)
五苓散(ごれいさん)
水分の停滞を改善し、循環を促すことで、余分な水分を体外に排出します。
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
胃の熱を冷まし、渇いた口やのどに潤いを与えます。
体質と適さない漢方薬は、効果があらわれません。漢方薬を使用する際は、漢方に精通した医師や薬剤師に相談し、ご自身のからだに合った漢方薬を提案してもらいましょう。
もっと気軽に漢方薬を使用したい場合は、オンライン漢方薬サービスの「あんしん漢方」がおすすめです。あんしん漢方は、体質の診断、漢方薬の提案、そしてアフターフォローに至るまで、すべてネットで完結するので、通院時間がない方や、感染症対策が気になる方にも最適です。
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5.糖分に気をつけ、こまめに正しく水分摂取!
ペットボトル症候群は、清涼飲料水やスポーツドリンクを過剰摂取することで引き起こされる急性の糖尿病です。疲労感やだるさなど、夏バテに似た症状が出るのが特徴です。
水分補給の際は、水や白湯など糖分を含まない飲み物を選び、コップ1杯程度をこまめに摂取することを心がけ、暑い季節を元気に乗り切っていきましょう。
<参考文献>
(※1)NIH Increased Insensible Water Loss Contributes to Aging Related Dehydration
(※2)北里大学 「糖尿病予備軍」 ののどの渇きに薬効
[a]参考
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/water.html
この記事の監修者

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかりさん
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。
病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストランなど15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホひとつで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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